2014年 06月 22日
本部情報113号発行~6・4山田解雇撤回民事訴訟 証人尋問が闘われる
https://dl.dropboxusercontent.com/u/20014389/honbujyoho113.pdf
2014年6月21日発行
6・4山田解雇撤回民事訴訟証人尋問が闘われる
次回、最終意見陳述(結審)は、
9月24日(水)11:00~岡山地裁202号法廷
6月4日(水)11時から岡山地裁202号法廷で、山田和広書記長の解雇撤回・契約社員制度撤廃を求める解雇権濫用裁判の本人尋問がおこなわれた。動労西日本組合員全員と岡山県内から支援の仲間が全力で傍聴に駆けつけてくれた。
証人尋問開始前、裁判所前に結集した動労西日本組合員と支援の仲間は、「非正規職撤廃!」「解雇撤回!」とシュプレヒコールをあげた。そして、結集した20人と共に、裁判所の法廷に乗り込んだ。JR西日本は、本社と岡山支社から15人も動員していた。この裁判にJR西日本が追い詰められている証拠だ。
山田書記長は、職場の青年の怒りに応えて共に闘う決意で本人尋問に臨んだ。組合側から、大石和昭弁護士が山田書記長の主尋問に立った。「ビラまき処分は不当労働行為だ。尼崎事故調査委員会への隠ぺい工作を暴露したビラを配ったのが許せなかったから、処分を出したんだ。」「変形労働時間制が問題だ。」そして、戒告処分が出された遅刻の当日(2009年10月2日)の係長らによるパワハラ襲撃と『佐々木隆之社長(当時)から全社員への手紙』(2009年9月29日付け)を暴露した。JR西日本側は、尼崎事故隠ぺい工作発覚後に全社員に向けて出された『社長の手紙』の証拠提出に対して、追い詰められた。山田書記長が雨によるバスの遅延のために10分遅刻したことに対して、係長が「おまえは社長の手紙の趣旨が分かっていない。反省文を書け。」と遅刻と全く関係ないことを言った。山田書記長の遅刻と関係ない会社の危機を理由に、日勤教育として反省文を強要したことを明らかにした。JR西日本側は、天野実弁護士が反対尋問をしてきたが、手が震えており、つまらない質問をするにとどまった。
証人尋問終了後に総括集会を開催した。はじめに、大石弁護士から証人尋問の総括が提起された。そして、組合員と傍聴に駆けつけた支援の仲間から発言を受けた。中西副委員長は、「JR西日本はブラック企業そのものだ。」と弾劾し、自らの労災認定闘争を報告した。岡崎組合員は、職場の青年労働者と共に闘う決意を表明した。そして、支援の仲間は、「変形労働時間による、労働者の健康破壊は許せない。こんな労働状況を続けるなら、誰だって健康に重要な影響がある。遅刻は、何年も不規則勤務で、ずっと疲労の蓄積があったからだ。」と、変形労働時間制について弾劾した。最後に、大江委員長が、「この裁判は、青年を使い捨てにする契約社員制度を弾劾する裁判だ。非正規化・外注化に一石を投じる。山田書記長は、非正規職撤廃の先頭に立っている。JRそのものを揺るがす裁判だ。今後も支援をお願いします。」とまとめた。
☆労働組合岡山マスカットユニオン組合員の青年から寄せられた投稿を紹介します。
なぜブラック企業は生まれたのか?
その鍵をにぎる国鉄闘争
国鉄分割・民営化は、日本国有鉄道(国鉄)をJRとして地域別の旅客鉄道会社と貨物鉄道会社に分割し民営化した政治改革のことである。これらの会社は1987年に発足し、今日も僕達の日常に無くてはならない交通手段を提供してくれている。
この国鉄分割・民営化とブラック企業の始まりがどう関係するのか、それは国鉄を民営化する際に、国家的不当労働行為が行なわれた為だからである。
一体どのようなことが行なわれたのか。それは、民営化を実現する為に、それに反対する労働組合員を反対したというだけで平然と1000人以上の首切りを強行したのだ。さらに、その行為は何ら違法になることは無いとし、今まで国鉄分割民営化とブラック企業の関係性が認知されることすらなかった。解雇の自由化が政治改革という名目の下、民営化と共に始まったのだ。
さらに、今では正社員の数よりも多くなっている労働者の非正規職化は、国鉄分割民営化と一緒に行なわれた労働者派遣法の制定である。つまり、大量首切りや賃下げ、リストラ、非正規職化と多忙死、過労死と労働災害の頻発、今日の労働者の苦難の始まりはここ、国鉄分割民営化から始まったのである。
「現在、解雇規制の撤廃」と称して正社員であっても自由に解雇できる法体制を作ろうとしているが、法制定を待たずにも数十年前にこのような解雇が、国が主導して行なわれていたのだ。普段お世話になっているJRといえども、ブラック企業が行っている不当労働行為を国と共に行なったとなると聞き捨てならないだろう。
ではブラック企業対策として、なぜブラック企業の始まりを述べたか。それは今、この大量解雇は不当であるという裁判が今もまだ続いており、かつその始まりの事件=国鉄分割・民営化が間違いであった、1000人以上の一斉解雇は不当であったと2013年になってようやく裁判で認められた為である。ブラック企業の始まりである国鉄分割・民営化に不当労働行為があったと、国鉄時代から存在する労働組合が必死に訴え続けてきた結果であると言えるだろう。
不当労働行為があったと認められたことでこれから何が変わっていくのか。自分たちの生活にどのように影響するのか。それは労働組合の、労働者の力が国を相手にしても勝つということが証明されたということに尽きると思う。労働環境是正の為ならば国を相手にしても勝てる労働組合が日本に存在するならば、どのブラック企業を相手どっても対等以上の団体交渉が実現できるだろう。さらに言えば、ブラック企業の始まりの事件で勝利をつかんだという事例がでているのだから、民営化に続く不当労働行為を行なう会社に利も無ければ勝算すらないだろう。
このことが世間に広まれば、これから僕たちは職場で悩むことが起きた場合は、嫌なら辞めるしかないという選択肢の他に、労働組合に相談するという選択が生まれるだろう。全国各地に一人からでも気軽に相談でき参加できる労働組合は存在している。地方にいけばまだまだ小規模な労働組合が存在するのも事実ではあるが、労働者一人ひとりが相談し、かつ活動に参加していけば、国を相手に不当行為を認めさせることができるのである。
このことからしてもブラック企業対策の最も重要な存在は労働組合であり、ブラック企業撲滅の為に必要な力は労働者一人ひとりが団結することにあるといえるだろう。